医師の生活

地方勤務医の生きる道①

皆さんこんにちは!sumiccoです。

プロフィールにも記載していますが、私は日本の片田舎の総合病院に勤務しています。

地域医療の厳しさが叫ばれて久しい世の中ですが、実際に働いてみると、やはり相当厳しいというのが本音です。

現場からの声をお届けします。

田舎の医者の厳しい現実

  1. 医者の数が足りない
  2. 医局の力が強い
  3. 給料が安すぎる
  4. 最新の知識や技術の習得が圧倒的に遅れる

挙げていけばキリがありませんが、パッと思いつくだけもこれぐらい浮かんできます。

では、それぞれについてお話していきましょう。

①医者の数が足りない

まずは圧倒的にこれですね。医者の数が決定的に不足しています。

総合病院なのに、一つの診療科に2,3人しかいないなんてザラです。

(酷いところは一人なんてところも・・・。)

基本的に入院患者さんがいる科は24時間365日呼び出される可能性があります。

診療科に2人しかいない科は必然的に一年の半分以上は深夜でも休日でも呼び出される可能性があります。

私の診療科は2人のため、まさにその頻度で当番を回しています。

それに加えて、救急当直などの夜勤相当の勤務が回ってきます。

初期研修を終えて間もない頃、ひと月に13回当直をしたことがありますが、流石に心身とも病んでしまいました。

ストレスが溜まると急性扁桃炎になるということを身を以て学んだ次第です(笑)

②医局の力が強い

医局、というのは大学病院の講座のことを指します。

例えば、消化器内科であれば「〇〇大学消化器内科学講座」が医局に相当します。

地方の大学病院を卒業した医師は、初期研修を終えたあと出身大学の医局に属する(医局員になる)ことが多いです。

医局の長は当然教授です。そしてなんと、医局員を命令によって大学以外の病院に出向させることができます。

当然、表向きは大学病院とその他の病院は業務提携契約などしていませんから、医局員は命令があれば大学病院へ辞表を出し、関連病院へ就職し直す、ということとなります。普通の会社では絶対にありえない(笑)

そして、働きたい病院を希望することはほぼできません。いわゆる「ご奉公」であり、僻地や人員の少ない病院へ無理やり出向かされることがほとんどです。

都市圏では、医師の数も豊富なため、医局に属さないフリーランスの医師も増えてきているそうです。

ただ、地方はそうは行きません。未だに医局の力が根強く、自分の希望する診療科に進むためには、医局に属さなければ適切な研修が受けられません。(研修指定病院が大学病院や出向先であることがほとんど)

もし、医局を抜けようものなら、雇ってくれる病院もなく、同じ診療科の医師からは白い目で見られ続けることとなります。

③給料が安い

地方の病院の勤務医は給料が高い。そう聞いたことはありませんか?

それは残念ながらごく一部の人のみです。

医局から別病院に派遣される場合、有無を言わさず契約書にサインさせられるわけですが、医局は勤務条件について交渉してくれるわけではありません。基本的には、勤務先の言い値で働くこととなります。

私は今、医局の人事で地方中核病院へ勤務していますが、契約上はパートタイム労働者です。

にもかかわらず、平日フルタイム勤務、緊急呼び出し当番、当直勤務はすべてこなさなければならず、勤務内容は正規職員と何ら変わりません。

医師になってそれなりに年月も経ちますが、ぶっちゃけ年収は500万円程度です。

医局の人事で動く医師に関しては、おそらく卒後15年目くらいまではそれぐらいが相場なのではないかと思います。

医局を離れ、個人で病院と契約した先生たちからようやく年収が上がってきます。

④最新の知識や技術の習得が圧倒的に遅れる

もちろん、田舎ですので都市圏にあるような「がんセンター」や「循環器病院」「外傷センター」など、特定の疾患に特化した病院はほぼありません。

私は特に癌診療を専門としていますが、承認済みの治療薬を利用した臨床試験などにかろうじて参加できるものの、今をときめく創薬などには関わることはできないのが現状です。

おそらくどこの地方大学病院もなんとか治験を行っている程度でしょう。

外科系領域に関しても、最新のロボット手術や血管内治療など、全て最初に行っていくのは都市圏の病院です。

基礎研究に至っては悲惨の一言。実臨床に深く影響するような基礎研究を地方の医大で行っている講座はごくごく僅かです。

じゃあどうすればいいか?答えは「医局に頼み込んで留学させてもらう」です。

ところが、留学から帰って来た頃には、教授がニコニコしながら待っています。「僕の人脈で留学させてあげたよね。その間他の先生が君の分も頑張ってくれたよ。これからもうちの講座に貢献してね^^」

これで立派な医局の奴隷一丁上がりとなります(笑)

地方勤務医の生きる道

記事を書いていてどんどん悲しくなってきました(笑)

絶望的な進路を地で行く私ですが、特にこれから研修医となる学生さんや今初期研修中の先生には同じ思いをしてほしくありません。

ただ、「家庭の事情で地方で働かないといけない・・・。」なんて人もいらっしゃるでしょう。

これから「地方勤務医の生きる道」というタイトルで、なんとか少しでも自分らしい医師生活を送れるヒントを示せていけたらいいなと思っています。

ぜひ、今困っているという人がいたらコメントでもメールでもいただけたらと思います。相談に乗りますよ!

それではまた次の記事でお会いしましょう!sumiccoでした。